STORIES
Snowy Peaks and Stream
Answering Winter's Call
雪化粧をしたあの山へ
夏にフライフィッシングで訪れたとき、遠くにそびえる大雪山がずっと心に残っていた。そして、冬の表情を見たいと再び旭川へと足を運んだのだが、その光景はまるで異国の地に足を踏み入れたかのよう。
平地では雪を見ることすらない僕の街とここの景色は別世界。地元でももう真冬だと思っていたけど、今思えば、あれはほんの序の口だった。
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黒岳のケーブルカーで標高約1,520mの7合目まで登ると、そこから先は一段と厳しい寒さが待ち受けていた。林道を進む間は、時折木々の間から壮大な稜線が見え隠れ。厳かな山塊のシルエットは純白の雪に包まれ、夏山とは違う息をのむ美しさを放っている。
わずかに雪が積もるトレイルをたどってハイクアップしてみたものの、冬山の奥深くへ踏み込むための装備までは持ち合わせていない。それでも、寒空に飛びえる山並みをしばらく眺める心の余裕があったのは、イエティナに身を包んでいたおかげだろう。湯気のように立ちのぼる熱い息と冷たい鼻先の鮮烈な対比を感じているこの時が、なんとも贅沢なもののように感じられた。
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寒くて暖かい町
山を降りて訪れたのは、東川町にある友人のカフェ。薪ストーブのやわらかな炎と、フライフィッシングとスノーボードを愛する吾郎さんが、僕をあたたかく迎えてくれる。冷えた体を芯からほぐしてくれるコーヒーと、野菜たっぷりなカレーをいただきながら、お互いの近況を語り合った。
山のこと、釣りのこと、そして冬の楽しみ方まで、さまざまな話題が飛び交う。このカフェは地元の人々や旅人が集まり、情報が交わる場所。いつも吾郎さんとの会話からは新たな旅のヒントが隠れている。
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身にしみる寒さの中で
町を散策していると、足元から雪が粉のように舞い上がる様子を目にした。この厳しい寒さが、北の大地ならではの特別な雪質を生み出しているのだ。ひどい時は平均最低気温がマイナス10℃を下回り、外にいるだけでまつ毛が凍ってしまうこともある東川町。寒さが肌に痛みとして感じられるほどだ。
北海道は本物だけが生き残れる過酷な土地。今シーズン、さらに素材をアップデートしたイエティナは、この厳しい環境下でも真価を発揮する。そのふわりとした裏起毛と厚みのある生地が身体を温め、まるで布団の中にいるかのような安心感を提供してくれた。
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真冬のフライフィッシング
この旅の目的は、冬場のフライフィッシング。禁漁期間のない北海道で、僕はオフシーズンのフラストレーションを解消しようと、翌日に忠別川を訪れた。夏にここで繰り広げたニジマスとの壮絶なファイトの記憶が、また僕をこの川へ引き寄せたのだ。
今朝は河原には新たに雪が積もり、その間を冷たい川が静かに流れる。他に釣り人のいない荒涼とした冬の世界の中で、僕の心は寒さを忘れ、純粋な好奇心に突き動かされていた。久しぶりのキャスティングに思わず顔がほころび、餌の少ない冬の川底で水生昆虫を追う魚の姿を思い描く。冷え切った流れにニンフを沈め、そのラインの先に視線を集中させる。
凍りついた川面が突然割れ、ニジマスが飛び出す……そんな劇的な瞬間を期待しながら過ごす冬の朝。静けさの中に熱い鼓動が響くこのひとときを、余すところなく楽しみたいと願った。
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